「界面活性剤」という言葉を聞いたことがあるひとも多いのではないでしょうか。
界面活性剤はシャンプーに使われている成分という印象が強いですが、
「身体に悪い」という噂もよく聞きますね。
今回は、そんな界面活性剤について紹介していきます。
界面活性剤とは?
界面活性剤は、二つの性質が異なり、混ざり合わない物質の境界面(界面)において、
その界面の性質を変える物質のことを言います。
ちょっと難しいですよね。
では、次は界面活性剤の働きについて具体的にご説明しましょう。
シャンプーにおける界面活性剤の働き
ことわざにもあるように、「水と油」は本来異質で溶け合わない物です。
ところが界面活性剤は、分子の中に水に混ざりやすい「親水性」と、
油に混ざりやすい「親油性」という部分を併せ持ち、
本来は混ざり合わない「水と油」を混ぜ合わせ、汚れを落としてくれる洗浄効果があるんです!
そんな界面活性剤。シャンプーでは頭皮の皮脂汚れを落とす役割を担っています。
頭についた汚れの多くは湯洗いでも取れるというのはご存知でしょうか?
実は、髪に付着した埃などの頭皮の汚れ80%は、濯ぐだけで洗浄できるのです!
しかし、それでも完全に洗浄できているわけではないですよね。
特に、皮脂汚れは「水と油」の関係上、シャワーの水を弾いてしまい、うまく落とせません。
そこで界面活性剤の出番!
皮脂汚れと水を混ぜ合わせ、洗浄するという働きをしてくれます。
シャンプーにおける界面活性剤の機能
汚れを落としてくれる役割があるのがわかったところで、
次にそのメカニズムについてみていきましょう。
①起泡
シャンプーって基本的によく泡立ちますよね。それは界面活性剤に起泡性があるから。
界面活性剤を溶かし込んだ水は、気泡を取り込んで
壊れないように安定化することで、泡立ちが良くなります。
②浸透・膨潤
- 界面活性剤は浸透性が高く、頭皮や毛髪にしみ込み、汚れの付着力を弱めます。
また、汚れを膨潤させて浮かび上がらせ、引き離す効果があります。
③乳化・分散
- 界面活性剤の親油性により、皮脂などの油性の汚れに付着し引き離します。
そして、その汚れを分散させてシャンプー剤と混ざり合わせます。 - シャンプー剤を洗い落とすと、汚れもしっかり取れるのです!
再付着防止・帯電防止・殺菌効果
一度離れた汚れが、再度毛髪に付着するのを防ぐ再付着防止。
また、静電気を防止する作用や殺菌効果などの機能もあるんです!
シャンプーに使われる界面活性剤は危険って本当?
界面活性剤は身体に悪影響を及ぼす、なんて噂は聞いたことありませんか?
でもその噂、少し誇張されているみたいなんです。
界面活性剤はシャンプーの他にも洗剤・食品・化粧品など様々なものに使用されています。
そのため、安全性にはさほど大きな問題はない成分なんです。
ところが、洗浄力の強い界面活性剤を使用したシャンプーによって、
ちょっとしたトラブルが引き起こされることもあるにはあるんです。
シャンプーにおける界面活性剤の毒性・悪影響とは?
界面活性剤による悪影響は、肌トラブルなどが起きること。
高い洗浄力を持つ界面活性剤は、同時に刺激も強いため
頭皮の乾燥や炎症、髪の毛へのダメージ等が引き起こされることもあります。
また、強力な洗浄力によって皮脂をとりすぎてしまう事も。
皮脂は基本的には毛髪や頭皮の健康を保つために必要な物。
頭皮の水分の蒸発を防止したり、細菌の発育を抑制したりという機能があります。
更に、皮脂が過剰に洗浄されることによって、
身体が「皮脂不足だ」と認識し、逆にもっと皮脂を分泌する場合もあります。
過剰な皮脂は臭いやターンオーバーの乱れの原因になります。
界面活性剤不使用のシャンプーは市販には売っていない?
頭皮トラブルを防ぐために、界面活性剤が使用されていないシャンプーを使えばいい!
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、市販にはそのようなシャンプーはほとんどありません。
そのため、刺激の弱い界面活性剤を使用しているシャンプーを選ぶのがスマート。
「天然界面活性剤」と「合成界面活性剤」
界面活性剤の種類として、「天然」と「合成」があります。
天然界面活性剤は、自然界に存在する成分で作られた物。
反対に合成界面活性剤は、石油などの原料から人工的に作られた成分を使用しています。
合成界面活性剤は洗浄力も高いですが、刺激やダメージは大きくなります。
天然界面活性剤はマイルドな洗い上がりですが、その分刺激も少なくなります。
シャンプーに含まれる成分で水の次に多く含まれるのが界面活性剤。
そのため、シャンプーは界面活性剤に気をつけながら選ぶべきなんです。
また、界面活性剤は、自分の肌質やその日のヘアスタイル等によって選ぶのがベストです。
シャンプーに含まれる代表的な界面活性剤一覧
界面活性剤には様々な種類があります。
今回は先ほどご説明した「天然」と「合成」も含め、
シャンプーに使用されている代表的な界面活性剤をご紹介します。
高級アルコール系 | アミノ酸系 | ベタイン系 | 石鹸系 | |
---|---|---|---|---|
オススメな人 | ・脂性肌 ・整髪料を使ったヘアスタイル |
・敏感肌 ・カラー/パーマ ・ロングヘア ・ダメージヘア |
・敏感肌や乾燥肌 ・カラー/パーマ ・ロングヘア ・ダメージヘア |
・普通肌 ・健康的な髪 ・ショートヘア |
洗浄力 | 強め | 弱めでしっとり | 弱めでしっとり | 強め |
刺激 | 一番強い | 少なめ | 一番少ない | 強め |
メリット | ・安価 ・洗浄力が強く、洗いがいがある |
・地肌や髪に優しく、保湿力がある | ・保湿効果や、髪の補修作用がある ・目に入っても染みないほど低刺激 |
・添加物不使用 |
デメリット | ・頭皮が乾燥しやすい ・髪がダメージを受けやすく、パサつく |
・洗浄力が弱く、汚れを取りきれない場合も ・濯ぎ残しをしやすい ・高価な物も多い |
・値段が高く、手に入りづらい | ・髪の毛がパサつきやすい ・パーマやカラーが取れやすい |
高級アルコール系(石油系界面活性剤) -洗浄力・刺激ともに強い
高級アルコール系は、合成界面活性剤の中でも特に代表的。
他にもラウレス硫酸塩・サルフェート・ES・AESといろいろな呼ばれ方をしています。
硫酸Naと表記される成分が配合されていたら高級アルコール系。
洗浄力が高く、多くの市販シャンプーがこの界面活性剤を使っているため手軽に購入できます。
ただ、その分頭皮や髪へのダメージも大きいのが悩みどころ。
- 敏感肌
- カラーをした髪の毛
- ダメージヘアー
- ロングヘア
アミノ酸系 -洗浄力が弱く、肌に優しい
高級アルコール系と真逆なのが、天然界面活性剤のアミノ酸系です。
N-アシルタウリン塩、アシル化グルタミン酸塩とも呼ばれます。
ラウロイルメチルアラニンNa・ラウロイルグルタミン酸TEA(Na)
・ココイルグルタミン酸TEA(Na)・ココイルアラニンTEA(Na)など、
「ラウロイル」「ココイル」という表記がある成分を配合したものがアミノ酸系。
マイルドな洗い心地でしっとりと髪と頭皮を保湿してくれます。
ただし、泡立ちづらかったり、濯ぎ残しをしやすいのが難点。
洗浄力も高くはなく、高価なものも多い様子。
- 脂性肌
- 頑固な整髪剤を使用した場合
ベタイン系 -洗浄力・刺激共に弱く、保湿力に長けている
アミノ酸系と同様、地肌や髪の毛に優しいのが天然界面活性剤のベタイン系。
アルキルプロピルベタイン系、スルホベタイン系とも呼ばれます。
コカミドプロビルベタイン・ラウロイルプロビルスベタイン・ココアンホ酢酸
などが配合されているシャンプーで、主に〜ベタインとつく成分が目印です。
ベタイン系は砂糖大根由来の植物が主成分になっており、すごく低刺激に作られています。
アミノ酸系よりも泡が立ちやすく、もっちりとした泡ができます。
また、保湿や髪の補修作用もあるため、ダメージヘアにオススメです。
しかし、その分高価で手に入れにくいのがデメリット。
- 脂性肌
- 頑固な整髪剤を使用した場合
石鹸系 -刺激は比較的弱いが、洗浄力は強い
天然界面活性剤の石鹸系は普通肌の人にオススメ。
脂肪酸ナトリウム/カリウムとも呼ばれます。
石けん素地・カリ石ケン素地・脂肪酸ナトリウム・脂肪酸エステル
などの成分を含んでいるのが石鹸系と呼ばれる界面活性剤です。
洗浄成分が強いですが、高級アルコール系よりは刺激が弱め。
ただ、乾燥肌の人は気をつけたほうが良さそう。
添加物不使用のものが多く、環境に優しい界面活性剤になっています。
- 乾燥肌・敏感肌
- カラー・パーマヘアー
- ロングヘア
その他の界面活性剤
アミノ酸系タウリン系
アミノ酸系と似ている成分だが、ふんわりと仕上がる。
スルホン系
洗浄力は強いが、刺激は弱め。
グルコシド系
洗浄力が弱いが、刺激は弱め。泡立ちがいい。
タンパク質系
保湿性が高く、刺激は弱いが高価格。
このように、界面活性剤には様々な種類が存在し、それぞれが特徴を持っているのです!
界面活性剤選びの4つの着眼点とは?
界面活性剤で選ぶ際には、
の4つのポイントを気にして優先順位を付けていく必要があります。
また、自分が今一番改善したい悩みを基に選ぶのも◎。
どのシャンプーが自分に合っているのか、それは人それぞれです。
シャンプー選びに迷っているなら、まずは界面活性剤に注目してみてください!
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